中国輸入をしているというと、貿易の知識だけ多少知っている人に聞かれるのが”円高・円安“の話です。今回はそれについて書いていこうと思います。
先に結論を言うと「円高・円安によって仕入値は変動するが売上(利益)にはあまり影響しない!」が答えです。
円高・円安とは?
はじめに一般常識なので輸入ビジネスをやろうとしている人はすでに理解していると思いますが、円高・円安についてしっかりと理解しておきましょう。簡単に説明しておきます。さらに詳しく知りたい方は国際経済や為替についてインターネットで調べたり、書籍を読んでください。
円高とは?
円高は”円の価値が高くなる“ことを指します。
中国元で例えると、20円で1元に換金することができたのが、10円で1元に換金できるようになることを指します。前者は20円で1元しか手に入らないが、後者は20円で2元も手に入るので円の価値が倍になっていることがわかります。
円安とは?
逆に円安とは”円の価値が安くなる“ことを指します。10円で1元の換金ができたのが20円で1元になると価値は半分になったということになります。
通貨の価値は常に変動しています。このため、通貨間の換金はタイミングによって変わってくるのです。この交換比率のことを為替相場といいます。日本国内で過ごすだけでは、常に日本円を扱うため為替相場は関係ありませんが、中国輸入においては日本円と中国元の交換が行われますので、この為替相場に注目しておく必要があります。
円高・円安による中国輸入への影響
次に円高・円安が中国輸入にどのような影響をするのか考えてみましょう。
まずは基本的な傾向として円安になると仕入値が上がり、円高になると仕入値が安くなる傾向にあります。以下に具体的な例を出してみましょう。
<例1>
7月1日 為替1元20円 タオバオ価格50元 国際送料20元
仕入値の合計=50元+20元=70元=1400円。
7月1日に1400円で仕入れることができた商品に対して8月1日に円高、円安になったケースで考えてみましょう。
<例2:円高>
8月1日 為替1元10円 タオバオ価格50元 国際送料20元
仕入値の合計=50元+20元=70元=700円。
国際送料やタオバオ価格は元で提示されており、為替の影響によって変わることがありません。ショップ都合によって販売価格が変わったり、物量によって送料(元)が変わることはありますが、今回は変わらなかったとします。
そうなると、円高になって円が元に対して2倍になると仕入値は半額になることがわかります。
<例2:円安>
8月1日 為替1元30円 タオバオ価格50元 国際送料20元
仕入値の合計=50元+20元=70元=2100円。
円安によって元価格が円に対して1.5倍になった場合、仕入値は1.5倍になることがわかります。
つまり円安=仕入値が高くなる、円高=仕入値が安くなる、ということです。
Amazon販売における影響
次に、円高・円安によるAmazon販売に対する影響を考えてみましょう。
端的に考えると“円安によって仕入値が上がる=利益が出なくなる”、という構図が生まれると想像できます。反対に“円高によって仕入値が下がる=利益が増える”となるように思います。確かにこの現象は一時的に起こります。
しかし、これは販売価格が変動しない場合に限ります。
市場の販売価格というのは常に変動しています。仕入価格が高騰したら、利益を確保するために販売価格を上げますし、仕入価格が安くなったら、その分安くして大量に売ろうとする業者が出てきますので販売価格は低下します。
実店舗の場合はすぐに価格の変更ができませんが、Amazonではすぐに価格の変更を行うことができます。このため、仕入値ごとの適正価格に必ず落ち着くため、利益がなくなったり、大きく上がったりすることは長期的には続きません。国内に在庫を多く抱えている業者や、販売価格をすぐには更新しない業者がいますので一時的には利益率アップorダウンが起こり得ますが、時間が経つについて仕入値にあった販売価格に落ち着くでしょう。
まとめ
円高だから輸入ビジネスがチャンス、円安だから輸出ビジネスがチャンス、とよく言われます。確かにそういった面はあります。しかし、それは大規模で外貨を稼いだり、為替予約を行って円高・円安をうまく活用できる大手企業、少なくとも中小企業レベルの話です。
私たちのような個人レベルで輸入して販売しているような人にとっては、円高・円安による影響は一時的なものであり、販売価格が適正になるまで待てばいいでしょう。ただし、注意点としては円高方面に向いている時に在庫を抱えていない場合に限ります。
円高に向かっている場合、仕入価格が安くなっていきます。このため、今後、販売価格がさらに安くなっていくと考えられます。在庫を抱えているということは、その在庫を購入した時の仕入値は円高になった現在よりも高いということになります。これでは、価格勝負になった時に確実に負けます。新しく仕入れた他者が薄利で販売したら、あなたは赤字になります。このため、現在の仕入値に対する適正な販売価格になってしまう前に売り切ってしまうという対応が早急に必要になります。
言葉で説明するよりも具体的な仕入値や市場の販売価格の動きは経験してみる方が良いでしょう。不定期ですが必ず円高傾向、円安傾向になることはありますので、そうなった時に注意深く見守って分析してみてください。そして感覚をつかむようにしましょう。